★年齢に寛容ではない医学部再受験生を積極的に受け入れない理由を考察してみた★

公にしていないからこそ真実は分かりませんが、医学部入試では年齢差別を実施している大学があるのではないかということです。これは、55歳の女性が群馬大学医学部を不合格になった際に成績開示を申し出たところ、筆記試験は平均点以上の成績だったからです。結局のところ、このケースは訴訟まで発展しましたが、最後の最後まで群馬大学医学部が年齢を理由に不合格にしたかは明らかになりませんでした。では、そもそもなぜ医学部では年齢差別が行われるような事態が生じているのでしょうか。ここまで医学部の年齢に寛容かどうかが注目されるのは、他学部に比べて医学部再受験生が多いことがあげられます。医師になってしまえば、高い報酬と安定した地位が得られることから社会人から医学部再受験を目指す人は多いです。実際は学力が足りずに不合格となる再受験生が大半ですが、なかには30代でも合格を勝ち取っている人はいます。医学部としては、6年間という長い学部生活を送り、研修医期間等を含めると、一人前の医師になるまでに最低でも10年はかかると言われています。医学部としては医療に貢献できる医師を育成することが本来の目的であり、できるだけ長い期間活躍してもらえる若い受験生を好むのは必然かもしれません。特に学費の安い国公立大学医学部は、1人の医師を育てるのに多額の資金が投入されているのも年齢に寛容ではない方針を採用する大学が出ていても不思議ではありません。しかも、医師という職業は、肉体的・精神的にハードで決して楽な仕事ではありません。30代や40代の再受験生は年齢的についていけるかという懸念もあるのです。それに国立大学の場合、年齢の高い受験生は学士編入枠を設けて募集しています。社会人経験のある人は医学部再受験ではなく、学士編入で採用しているという考えもあるのでしょう。もちろん、滋賀医科大学や熊本大学のように国公立大学医学部でも年齢に寛容で多くの再受験生が合格している大学もあります。したがって、再受験生の場合は年齢に寛容だと言われている医学部を目指すのは一番安全な選択肢と言えるでしょう。ただし、年齢に寛容かどうかの前に学力を高めるのが最重要となります。